「Webデザインにこそサービスデザインが必要」は本当か?グローバルカンファレンスに参加してわかったこと
先の記事でもお伝えしたように、11/2~11/3までマドリッドで行われたサービスデザインカンファレンスに参加してきました。個人的には初の参加でしたが、今回は10回目カンファレンス。毎年のように参加者も増えているようで、今年は世界各国から600名以上の参加がありました。日本からは30~40名くらいの方が参加されていたのではないか?と思います。
カンファレンスでは、世界のサービスデザイン界のトップランナーによるセミナーやワークショプなどが2日間に渡り朝からビッシリと行われました。

こちら言わずと知れた「10types of innovation」のLarry Keeleyの圧巻のKeynote。
「サービスデザイン」はまだまだ発展途上?
非常に興味深い話が聞けた一方で「サービスデザインとは?」「サービスデザインには何が必要か?」「サービスデザインがどうすれば、クライアントに売り込めるのか?」と言った内容の話も多かった印象があります。
この辺りは、まだまだ「サービスデザイン」自体を模索している最中だったり、その売り方、価値づけなど、有益性がまだ広く知られていないからかな?と思ったりもしました。
またこちらのカンファレンスは、開催場所もヨーロッパということで、全体的にヨーロッパからの参加者が多かった印象ですが、「サービスデザイン」の価値づけに苦労している面もあるのかな?と感じました。
と言うのは、やはりアメリカ系の参加者は、すでにバッチリと体系づけされた理論を、高付加価値で売買している土壌があるようで、ヒシヒシとその圧倒的な自信の高さと、マーケティング的な成功事例感が伝わってきました。
一方で、ヨーロッパ系はスカンジナビアや北欧、イギリスなどのパブリックセクターが導入していたり、こうした手法を使うことも多いようで、いわゆるシリコンバレー系のノリとは違った印象(=ビジネスとしてマネタイズをどうしていくか迷っている感じ)を受けました。
そう言った意味で、手法、その売り方、また対象となる事例が非常に多岐にわたるので、抽象論的なことも多く、イマイチ、ピンとこなかったセミナーもありました。
もちろん、これは今回初めて参加した筆者の印象ですので、事実と異なるところがあるかもしれませんので念のため。
日本では、ここ数年急速に「サービスデザイン」と言う言葉を聞くようになった人も多いのではないでしょうか? 実際、日本からの参加者も順調に増えているようです。
サービスデザインは「人」にいかにインパクトを与えるか?
さて、それでは少し具体的に今回のカンファレンスで個人的に印象に残った話を紹介したいと思います。
まずサービスデザインは、公共セクターと「非常に相性が良い」と言うこと。これは多くのスピーカーが話していました。結果的に予算削減にもなるという話もありましたが、それ以上に通常、パブリックセクターが抱えている課題を解決するために、バッチリな手法であると言うこと。課題との相性が良い、とでも言うことでしょうか。
サービスデザイナーに求められる資質と、今の時代のパブリックセクターに求められる資質が、結局同じなんだなあと言う印象も受けました。(常にオープンである、顧客の言葉を聞く、プロトタイプを作る、などなど)
またデータの重要性や有用性はますます高まっているが、「テクノロジーは、何ができるか?を教えてくれるだけで、何をするべきか?と言うことこを考えるのはデザインである」とか、「サービスを硬直化させるな、常に変更を続けていけ」といったこと、つまるところ「人間にいかにインパクトを与えるか?と言うことをデザインするのが、サービスデザインである」ということ。この辺がパブリックセクターと相性が良いもっとも重要なポイントかもしれません。

UK GovernmentのLouise Downe。パブリックセクター発として非常に示唆に富む内容でした。
それから、「教育」とサービスデザインの親和性、「デザインは経営そのものである」という話、Uberのデザイン設計、サウスウェスト航空のユーザーエクスペリエンス向上のためのプロジェクト、BBVAという銀行がいかにデザイン思考を取り入れているのか?IBM(を数日前に辞めたデザイナー)の話、などなど膨大なインプットとなりました。
非常に多岐にわたるトピックだったので、集約することが難しいのですが、無理やり集約するとすれば「いかに人にインパクトを与えられるか?」ということかな?と思います。(かなり無理矢理ですが)しいては、人間の生活にどうインパクトを与え、より良い世の中にするのか?ということでしょうか…。
ということで、インプット過多の濃厚な2日を過ごしたわけです。さらにこの間、日本はもちろんとして、世界中から来ているサービスデザイナーとのネットワーキングも行いました。
ご存知の方もいるかと思いますが、この世界でもオランダ勢の存在感はかなり高いのです。ということで、日本のネットワークにつなげたり、逆につなげてもらったり、ということで非常に充実した2日間でした。
お世話になったみなさま、ありがとうございました。
サービスデザインの分野は、弊社ニューロマジックとして、非常に力を入れている分野です。というのも、今やWebが「サービス」そのもの、そして経営そのものになっている企業も多いからです。AirB&B、Uber、Facebookなどなど挙げればきりがないですよね。(そして今後、ますます増えていくことと思います)その時に、Webのデザインだけに特化していては、片手落ちだと考えているからです。
我々は、Webデザイン、制作には絶対の自信を持っていますが、そこにこうしたサービスデザインの視点をプラスしてくことが、現在のWeb制作界においては、喫緊の課題だと考えているからです。
ニューロマジックでは、すでにこの分野の知見やナレッジを体系化していたり、シリコンバレー発のスタートアップ企業、Hivelabをニューロマジック東京の事業部として日本上陸もさせています。そこでは世界各国にて活用されている「Service Design Sprint プログラム」を提供しています。
もちろん、今回のようなヨーロッパ系のサービスデザインの知見やネットワークなども構築しております。
ニューロマジック東京でも、ニューロマジックアムステルダムでも、どちらでも構いません。ぜひ、お気軽にご連絡ください。
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